北陸の峠道


根来坂から百里ケ岳


根来坂(ねごりさか)は、その昔若狭から京都へ鯖を運んだ鯖街道の県境にある峠だ。
街道筋には、奈良東大寺二月堂のお水取りに先立って、3月2日にお水送りが行われる
神宮寺と「鵜の瀬」があるし、若狭最古の神社若狭彦神社と若狭姫神社がある。そして、
近くには坂上田村麻呂の創建と伝えられる明通寺もある。

遠敷川沿いの道は、鯖街道入り口の標識のあるところから未舗装の林道になる。最近は
膝の調子が気になるので、出来るだけ車で林道を行くことにして、鯖街道入り口からは歩
かずに車で上に向かう。やがて工事中の手前に「鯖街道左へ」の案内があり、そこから鯖
街道へ入る。林道のため旧街道が100m以上にわたり使われなくなってしまったようだ。

50mくらい登るとお地蔵さんと井戸があった。いつ頃からある井戸か判らないが、覗いて
見ると、きちんと石を積んで造られてあり、水面はだいぶ下の方にあり、そばに紐を結んだ
バケツが置いてあったが、届かないのではと思われるほどだ。



峠へと続く道は、V字に窪んだ細い道で、まさにこれは峠道だと云う感じなのである。また
急斜面に付けられた細い道は、足を滑らせれば谷へ落ちる危険なもので、大雨や地崩れ
などで、長い年月の間には多少ルートも変わったのではないかと思う。でないと、こんな
所を捕れたての鯖を載せた馬が通るのは危険過ぎる。いや歩いて運んだのかもしれない。
昔の人は「京は遠ふても十八里」などとつぶやきながら歩いたのだろうか。家康もここを通った
というし、六百年位昔にはゾウがこの峠道を通って小浜から京へ行ったという話もあるらしい。


根来坂峠 真ん中奥に見えにくいが大乗妙典と彫った一石一字塔がある。ここから展望台へ
行ける。



35分ほどで峠に着いた。もっとこの道を歩き続けたい気分なのだけど、そうも行かないの
で、近くにある展望台とやらに登ったが、展望はあまり良くなくて工事中の林道が良く見え
た。そして百里ケ岳(931.3m)へ向かう。

どうも下りが多いみたいだし、平坦な道も多く楽な歩きで、風が強くそれほど暑くない。朽
木村から登って来る道と出会った所から、間もなく急な登りとなったが、すぐに頂上に着く。
峠から1時間弱、こんなくそ暑い時に登る人はいないと思っていたら、頂上に二人先客がい
た。眺めは良くないが頂上の看板は立派だった。



例によって冷たいビール、いや発泡酒を飲む。今日はコンビニに寄りそびれて、車にあった
非常食の固パンを持ってきた。昔懐かしい乾パンの味が思い出される。
そうこうしているところへ年輩の二人連れが登って来て、少しばかり話をした。朽木村の方
から登って来て、帰りは登り口にある温泉に入っていくそうだ。いろいろな山の話が出たが
だいぶ前に白山へも行こうとしたが、駐車場が満杯で入れず、やめて温泉に入って帰った
そうである。
その白山も今は宿泊は予約制で、今日はキャンセル待ちが500人もいるとか。自然環境
を保護するために登山者数を制限しているのか?どう考えればいいのだろう。私は4・5回
登ったので最盛期は遠慮しておこう。

帰りは峠道の雰囲気を味わうように、さらにゆっくりと歩いて降りたのでした。

(’00・07・29)



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