北陸の峠道


山中峠


今日は4月8日、記憶が定かでないが、お釈迦様に甘茶をかける日ではなかったか。そんなこと
を想い出しながら、今庄と敦賀を結んだ最も古くから使われた峠道、山中峠へ向かう。

南今庄駅横を通る旧北陸線の線路跡を利用した県道をひた走ると、以前木の芽峠から鉢伏山へ
登った時に曲がった上新道を通り過ぎる。やがて登り坂になり、広域基幹林道 栃ノ木〜山中
線の入り口があり、それを過ぎるとすぐに山中峠へ入る林道がある。デカイ目印があるし山中峠
の説明が掲げられている。いま来た道の先はトンネルに入る。汽車のトンネルだったから狭い。



峠へ行く道は小川に沿って始まる小道だ。昔のままの姿を残す峠道は何処もそうだが、落ち着
いていて趣がある。今から千数百年も前に沢山の人がここを行き来していたのだ。お役人や商
人、坊さんや俳人、軍勢も通っただろう。当時一般の人々、庶民とよばれるような人達は遠くへ
旅をすることがあったのだろうか。我々が読むような歴史の本には、あまり庶民のことは書いて
ないようなきがする。


(山中峠・柱の山中峠の字が露出オーバーで見えない)
峠までは入り口から700Mなので、いくぶん体が暑くなってくる頃に峠に着く。峠にはお地蔵さん
がつきものだ。敦賀側に少し降りてみると海がひろがる。こちら側の道の方が急坂の様だった。
道に沿って何本かの古い電柱が立っているのに気が付いた。電線は張られてなく、ところどころ
に白い碍子が割れて落ちていた。何処に送電していたのだろう。
まだ昼食には早すぎたので休むことなくすぐに引き返した。林道へ戻ったのが11時になるところ
だった。


(木の芽峠の茶屋)
今日はかみさんを連れているので、木の芽峠へ案内することにして、広域基幹林道 栃ノ木〜山
中線に入る。ほとんど舗装されている快適な林道で、眼下に杉津の海を見下ろせる所もある。
言奈地蔵の下に着いたら、次々とタクシーが3・4台、中年のおじさんおばさんを14・5人降ろし
たのだ。みなさん登山の身なりで言奈地蔵に集合という格好だ。私達が木の芽峠の茶屋から下
へ歩き始めたら、14・5人の一行が賑やかにこちらへ向かって来るのが見えた。峠から鉢伏山
に登るのだろうか。まだ日陰のあちこちには雪が残っている峠道だった。


(栃ノ木峠)
こちらは林道起点の栃ノ木峠へと出た。国道365号線の福井県と滋賀県の県境であるし、滋賀
県側には淀川の源をしるす大きな石碑がある。特に峠を示すものはないが、峠名の由来である
栃ノ木を見ることなく下ってしまった。



今庄に向かって急な坂を下って行くと復元された板取宿がある。そこを少しぶらついて花はす温
泉そまやまで温泉に浸かって帰途についたのである。今日はなんと福井と京を結んだ3っの峠を
見てきてしまったのだ。北陸の峠道巡りもこれからはほんの時々しか出来ないかもしれない。

(’00−04−08)



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