福井の小さな山歩記


野坂岳('00-05-03)


国道8号線を敦賀に向かう。8時頃だというのに「河野道の駅」は満員の盛況、洗
面所で歯磨きをする人が多い。いかにもゴールデンウイークらしい。

敦賀に近づいたら雨が降り出し、今日は天気には恵まれないみたいだ。8時50分
「野坂いこいの森」の奥の登山口に到着。先客が一台止まっていた。きれいなペー
パー付きのトイレがあり我慢してきた甲斐があったと感激する。

登山口の野坂嶽権現の由来を読んで9時丁度に歩きだした。



トチの木地蔵までは沢音を聞きながら雨にも遭わず,しっとりとした杉の落ち葉を
踏みしめて登る。トチの木地蔵の沢の水は名水だそうである。一時間ばかり経った
とき下の方から「竿や〜竿だけ〜」の売り声が聞こえてきた。それで振り返って見た
ら、敦賀の街の上を低く黒雲が進んでいる。これはやばいなと思っていたら、一帯は
ガスに被われ、霧雨という感じになってしまった。

尾根に出る手前で傘をさして降りてくる人に会う。尾根に出ると横からガスが吹き
つけて寒い。11時少し前に頂上(913.5m)に着いたが、横殴りの雨と云う感じで
写真も撮れない。ほうほうのていで小屋に逃げ込む。


(山頂)
汗が冷えて寒いので下着を着替えて食事とする。来るとき寄ったコンビニにはお
酒が置いてなかったが、こんな時は化学反応でお燗のできる缶入り清酒が欲しい。
だが、今日はバナナがあったのだ。コンビニにバナナがあるのは珍しいのだが、バ
ナナを一本だけ買うのも初めてだ。一本68円とだいぶ割高である。

寒くて落ち着かない。雨風が止まないかと思って40分ばかり小屋の中に居たのだ
が,結局ガスで何も見えないまま11時40分小屋を後にする。尾根をはずれると
風もなく快適となって柔らかい若芽の緑を楽しむ余裕もでてくる。ちょっと明るくなる
と燃え立つように緑が鮮やかになる。春はこれだからいいのだと満足するのである。

トチの木地蔵あたりで登ってくるおばさん3人とすれ違う。遅く登る人が多い。一時
5分に登山口に着いたが、3人の年輩の男性がそれぞれに巨大な荷物を背負って
登り出したし、二家族らしい8・9人が登ろうとしていた。
その二人の旦那は足まわりも決まっていたが、二人の奥さんは折り畳み式の椅子
を抱えているのだ。旦那の一人が「おまえ、そんな物持ってどうするんじゃ」「上で
みんなが戻ってくるのを待つのん」「上は寒くて座ってなどおられんぞ」などと会話
している。見ると子供は野球のグローブを持っているではないか。いったいどうなっ
ているんだいと思っていたが、やがてこの家族連れは登山道を登って行ったのだ。
勿論折り畳み式の椅子もグローブも置いてである。

今日は憲法記念日だ。



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