福井の小さな山歩記


浄法寺山(1999・11・13)


浄法寺山(1052.8m)は想い出の多い山だ。私が福井へ転勤して初めて登った
山である。その時は京福電鉄の駅からテントを担いで清水小場(しょうずこば)ま
で歩き,キャンプをして翌日登った。テントが重かった。30数年前のことである。

子供を連れて登った山でもある。清水小場から冠岳へ直接向かう道へ登り出し
た時、上から若い男の人が転がるように下りてきて、蜂がいっぱいいてだめだと
言う。そこで「しし岩」の方から登ったのを覚えている。岩場で子供うけするコース
だった。これは20年以上前のことだ。そして今回は3回目になる。

前夜来の雨もあがり晴天が広がった。今は清水小場まで車で行けるので、朝8
時半に家を出てコンビニへ寄って9時半着。今日は初めて冠岳へ直接向かうコー
スをとる。キャンプ場からの子供達の元気な声を聞きながら登るのだが、なかな
かきつい。一時間程掛かって冠岳の展望台に着いた。絶景だ。紅葉もいい。

今日は気温が高いみたいで、だいぶ汗をかいた。冠岳からは急な登りはなく、道
が雨でぐちゃぐちゃしている所があったが、一時間で浄法寺山頂上に着いた。南
丈競山頂の小屋が目の前に見える。頂上には誰もいなかったが、後で判ったの
だが,みなさんはすぐに丈競山へ向かったのだ。


’78の時の頂上(国土地理院の測量のための櫓)と現在の頂上

私のすぐ後から中年の夫婦が到着して3人で話しながら食事をした。旦那は京都
から単身赴任して福井に居るのだそうで、近いので休みを利用して奥さんがやっ
てきたのだろう。昨年は荒島岳に登り熊に会ったそうである。

そうこうしている内に人の出入りも多くなって,丈競山から背の高いお兄さんが
到着して腰を下ろした。どの位掛かりますかと聞くと「17分くらい、往きは15分
着きましたわ」,きつい登りはありますか?「ゆ〜るゆる」「ここまで来て行
かない
手はないですよ」「今年出来たばかりの山小屋で靴を脱いで,で〜ん
と休んでみ
て下さいよ」この調子のいいお兄さんの話しに乗せられて,私と単
身赴任の夫婦はすぐに丈競山に向かったのである。

見晴らしの良いとても気持ちのいい道である。25分くらいは掛かった。小屋の中
は,「で〜ん」と休むには人が多すぎたようだ。いくつものグループが登っていて,
とても賑やかだった。私はここえは前にも来ていたし,時刻はもう一時を回ってい
て,私にすると下山の時間なのですぐに引き返した。



帰りは冠岳からツツジが原へ向かう関谷山道を歩いた。厚く落ち葉が積もった
なだらかな道で,目の高さで紅葉が楽しめる素敵な山道だ。岩場を下りればキャ
ンプ場に出る。3時半を回っていて下山時刻を記入にいったら、管理棟のおじさ
んが「ご苦労さんでした。気を付けてお帰り下さい」と声をかけてくれた。



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