福井の小さな山歩記


平家岳(’00・09・02)


平家岳(1441.5m)は、名前がそうさせるのか、何か期待を抱かせる様な響きがあって、
登ってみたい山だったが、何故かえらく遠い処に在るように思えていたのだった。

初めて九頭竜湖の箱ケ瀬橋を渡った。面谷橋を渡って川沿いの林道を20分ばかり走ると
登り口がある。私のポンコツ乗用車では、この様な石ころの多い林道は早く走れないのだ。


登山口の傾いた鉄の橋

ここまでの間、時々雨がぱらついたが、7時40分に歩き出した時は止んでいた。まず、鉄
の橋を渡るのであるが、これが傾いていて滑るし、一瞬ヒヤリとすること請け合いなのであ
る。そう判っていても、帰りにはまた足を滑らせて欄干にしがみついてしまった。格好悪い。

登り始めて10分とたたないうちに雨が降り出す。そこで、いつも持ち歩いて来た雨具を今日
初めて使うことになった。この雨具は、登山用品店のおばさんが、これは大学の山岳部では
持ってないと仲間に入れて貰えない程の優秀な品物だ等という言葉に載せられて2万円で
買わされてしまったものなのである。たいした雨でもないと思い、上だけ着用した。

雨はだいぶ降って、道は川となり、雨具の中は汗でぐっしょり、ももから下はずぶぬれだ。
送電線の巡視路と合流する手前で雨は止んでいたので、雨具を脱いで休憩とする。体の
熱を逃がさないと参りそうだ。
そこからは特に急な登りはないが、2番目の送電線の鉄塔の側をジグザグに登っている時
強い雨に見舞われた。また、道は川となって流れる。しかし、雨もそこまでで尾根へ出てか
らは快適とは言えないが、周囲はガスで何も見えない中を順調に歩き続ける。


頂上 ガスがひっきりなしに吹き抜ける

標識は無いが井岸山(1400m)と思われるピークを下ると最後の真っ直ぐな登り道が見え
る。晴れていたらとても気持ちの良さそうな頂上への道だった。3時間で頂上着。風が強く
ガスが吹き上げてくるので、写真を撮って井岸山へ戻って食事を摂った。ここもなかなか気
持ちの良い所である。

冷たいビールを飲み、冷たいみかんを2つ食べたら汗が冷えて寒くなってきた。そこで冷たい
バナナはやめにした。今日はさすがに水分の補給は少なかった。疲れ方もだいぶ違うようだ。
途中1回休んで紅茶を飲んだだけなのだ。
何も見えず冷えてきたので早々に下山とする。なんと立ち上がってみると、ガスが晴れてきて
いるではないか。尾根道を戻りながら、何回も立ち止まってはすっきりと姿を現した、今登って
きたばかりの平家岳を写真に収めた。



戻り始めてから40分くらいのところで中年の夫婦が登ってきた。前を歩くおばさんが元気そ
うだ。あいさつの声が大きい。帰り道は周囲を見渡しながらゆっくりと歩いたが、暑くもなく寒
くもなく風も気持ちがいい。りんどうだろうか、青紫のつぼみがあちこちに沢山ある。その色合
いがとても綺麗で印象に残った。

雨に降られたけど平家岳は期待通りの趣のある山だった。天気の良い紅葉の時期にもう一
度来てみたい気がする。そうすればさらに素敵な想いでをつくってくれるかも知れない。


送電線巡視路から見る左:井岸山と平家岳


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