北陸の峠道
岩井越
この道は、平家岳の登山口のある面谷から荷暮川の野々小屋谷との出合い近くへ降りると思われる。
私の頭の中には、何故か、この道は石積みが今でも残っていて道幅も広く、今まで2回平家岳に登った時
に 車を停める処から左へ林道みたいな広い道があるので、そこから歩くという、そういったイメージが出来
ていたのである。 しかし、今回歩いてみた処は、私が抱いたイメージとは大きく異なり、別の処にあるのか
なとも思ったりしたのだ。
高倉山と1014mの鞍部を越える処までは距離も短いし、向こう側の荷暮川まで降りられるかも知れない。
それか高倉山まで登ってもいいな、などと夢が膨らんでいたのだ。るんるん気分で歩けそうなので
紅葉見物
がてらにカミさんも同行することになった。
駐車場の処 左の道へ入った、この広い道は見かけだけだった
平家岳登山口近くの駐車場に着くと、すぐ左へ入る道が確認できる。しかし、この入口からして私のイメージ
とは違っている。地図を見ると少し手前ということになる。 それで、現在のお墓が集まっている処まで戻って
入り口を探したが、沢以外には山へは入れそうにない。沢の両側にも道はなく、結局車を停めた処の道から
入ることにした。
この広い道は、歩き出すとすぐに行き止まりとなるのである。前途多難が予想される。すぐに薄い踏み跡を
探し、沢を渉って進んだ。薮漕ぎ状態で、沢は左へ曲がり、その先二俣になる。そこを左へ、どうやら堰堤を
造った時の作業道の名残みたいな踏み跡だ。幾つか右に堰堤を見て進んだが、ついに進むのが困難にな
って来た。 そこで地図を見て、左手の急斜面を登ってピークを越えて、地図上に記された道へ横からぶつ
かることにした。幼木に掴まって登るえらい急斜面で、時間の掛かること甚だしい。
ピークに出てそのまま下れば良かったのだが、ピークには割とハッキリした踏み跡があったので、それに
つられて急斜面を降りてしまったのだ。降り立った処をてっきり目的の道だと思って喜んだのだが、なんと
それは我々が堰堤を見ながら歩いて来た沢の源頭部だった。 それを詰めて、もう枯れ葉に埋もれて道の
様な感じの処で休憩、12時なのでおろし蕎麦やおにぎりを食べた。
ここが峠に当たる処 左が杉林で写真中央から窪んだ道が左へ下っている処を写したつもりです
で、左右を透かして見ると薮が生えた道の様なものがある。GPSで確かめると、地図上の道の上に居る
ではないか。峠と思われる鞍部までは250mもないかも、それで薮を漕いで、四つん這いで倒れている
樹の枝をくぐったりして、やっとのこと目的の鞍部へ到着した。鞍部から先は杉の植林がされていて、その
先、道は判りやすいのではと思ったりしたが、もうそちらを覗く気もしなかった。帰りが心配だったのだ。
戻りは、休憩地点を過ぎて少しの間は太い笹竹が煩かった。急に前方が開ける。地図では道は尾根上を
下っているが、現在は尾根の横の斜面を下って行く。ここで今日初めて全く薮の無い枯れ葉が厚く積もった
歩きやすい道を快適に歩く事が出来た。周囲の景色もいい。
薮を抜けてこの谷の斜面に来るとほっとする 少しの間るんるん気分になれたのだ
やがて地図上でヘアピンカーブの処へ来ると、急に道が途切れた様になる。急な斜面なので崩れてしまっ
たのか。それで沢沿いに道があることを期待して、その急斜面をずり下る。沢の両側には道らしいものは
ない。昔はあったのかも知れないが、この辺りは崩れやすい処だから維持するのは難しいだろう。GPSで
見ると、沢と道とは重なっているので、沢を下れば間違いなく面谷に出る。水のほとんど無い歩きにくい沢
を下った。
この沢を下って来た 昔は沢沿いに道があったのだろう 林道を少し下がったところにお墓が見える
お墓のすぐ先の林道に沢から上がった。最後の10mというところで、後ろのカミさんが悲鳴を上げた。見る
と頭を下にして胸ですべり落ちてきた。別に何ともなかったが、普通は尻ですべるものだ。GPSの記録では
2.5kmしか歩いてないのだが、休憩もいれて4時間半以上もうろついていたのだ。今日の平家岳には誰も
登らなかった様だ。箱ケ瀬橋の周辺には年輩の夫婦などが写真を撮っている姿が目に付いた。
(’06年11月 9日)
2万5千分の1地図「越前朝日」「平家岳」「門原」 峠の標高 約945m 累積標高差
416m
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---- 参考までにGPSでの軌跡です ----
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)
及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。 (承認番号 平17総使、第657号) 」
この地図上の経緯度線は日本測地系にもとづいています。下図は2万5千分の1の縮尺ではありません。
等高線をハッキリ表示させるために拡大してあります。
001地点 平家岳登山者用駐車場 点線は平家岳への道 002地点 沢沿いの道が無くなって斜面へ取り
付いた処 003地点 峠道に出た処 004地点 岩井越の峠 005地点 沢が林道にぶつかった処 004地点
の上の方1246.2mの三角点は高倉山 現在のお墓は005地点のすぐ上の処です。
地図を見ていると、003地点の左も鞍部だし、004地点の鞍部とはほとんど高低差が無い。
どちらが峠と決め
がたい。それで岩井越と呼ぶのが相応しいのかと思ったりするのだが、どこに岩井越と載っていたのか全く憶え
がないのだ。