隠れ家周辺点描
山伏山
山伏山(182m)は、能登半島の突端にある禄剛崎の灯台が望める所に位置している。だから隠れ家
から2時間も掛かる遠い所なのだ。 昔は「鈴ガ嶽」と呼ばれたという。山頂には須須神社の奥宮がある。
須須神社は、およそ2千年前崇神天皇の時代に山伏山山頂に創建されて天平勝宝年間に現在の地で
ある寺家に移ったとありました。 山名から想像するに、修験者が修練を積んでいた所かも知れません。
まあ、そんなことで一度は訪れてみたいと思っていたが、分県登山ガイド「石川県の山」(1996年版)
を見たら自由に採集出来るワラビ園があると云う。これを知ったカミさんは俄然行く気になったのだ。でも
最新版(2005年)にはワラビ畑となっていて、自由に採集出来るとは書いてない。畑ということになると
ねえ。
山伏山登り口 向かい側を入ると葭ケ浦へ
長時間のドライブの末、やっとのことで登り口に辿り着く。向かい側に入る道は
キャンプ場やランプの宿へ
行く道らしい。 「葭ケ浦」(よしがうら)のバス停の処だ。 ちょうど昼になっていたので、車の中でコンビニで
仕入れたおろしそばととろろそばを食べて腹ごしらえをした。
登山口の階段を登ると木の鳥居があるのだが、その辺りから、もうカミさんはワラビを見つけて採り始め
なかなか前へ進めない。実はそういう調子で歩くのが丁度よい様な、短い距離しかない山なのだ。散策
コースなのである。
すぐにワラビ畑と思われる処に来たが、山菜採集禁止、浸入禁止との看板が掲げられていて、あの薄い
ヒラヒラのテープが、もうボロボロになって道路沿いにずっと張られている。 カミさんは、これはテープの
外側だから問題無しなどと言ってワラビを採っている。でも、別にテープの傍のグレーゾーンに目を凝らさ
なくても十分に採れた様子なのである。
上の写真:鳥居をくぐったところ、ここから急登 下の写真:奧の宮手前のなだらかなところ
そして目的の山伏山は、石の鳥居から急登となり、独特の雰囲気がある樹々の間をジグザグに登って
いく。台風で根こそぎ倒された樹が何本もそのままになっている。スダジイやアカガシが目につく山伏山
社叢は、県の天然記念物になっているそうだ。
すぐに山頂の奧の宮へ着く。あまり近いので、もっと先があるのかなと思って奧の宮の裏へ登ってみたら
そこがピークとなっていた。木々の間を透かして見ると、白い狼煙の灯台が見えた。
山頂の奧の宮
山伏山の中腹には、江戸時代に加賀藩によって常灯小屋が設けられ、航海可能な3月〜9月までの間
海難の多い沖を通る船の目印になった。一夜に油一升を消費したそうだが、後に海防の為に遠見番所
が置かれて、昼夜交代で見張りが行われるようになった。
下りには、登っている時には気が付かなかったコシアブラの木が目について、カミさんが「これは山伏山の
コシアブラです」などと言っては、ちょうど良い加減の新芽を摘んでいたのである。
(’06年4月29日)
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