福井の小さな山歩記
夜叉ケ池(1999・10・11)
夜叉が池(1,099m)は、前から行ってみたいと思っていたが、何か遠くにあるよう
な気がしてなかなか行けなかった。しかし、決心して行ってみると、7時に家を出
発して8時15分に登山口に着き、10時5分には池に到着したのだった。意外と
近いことが判った。
登山口には、すでに10台の車が停まっていたし、テントも二張りあったりして、次
々に夫婦連れなどが登る準備をしていたり、歩き始めていた。体育の日の振替休
日に相応しい雰囲気だ。
最初の内は渓流沿いの平坦な道が続き,流れの音を聞きながらの歩行は気持
ちが良い。あと少しで紅葉が始まると思うが、そうなれば最高に良いのではと思
う。やがて夜叉ケ滝があり、沢を渡り返すと登りが始まる。でも、今日は風があっ
て涼しい。前後4・5人が抜きつ抜かれてして池にたどりついた。
池は強い風が吹いていた。汗が冷たくひえてきたシャツを着替えてから稜線に出
たが、さらに強い風が間断無く吹き、カメラを持つ手もぶれてしまうし、帽子も押さ
えなければいけない。そこで夜叉ケ丸へ登るのはやめにした。年輩の方達が大勢
登っていたのではあるが。
だんだん人が多くなってきて、小さな子供の元気の良い声も聞こえてきた。チーズ
でビールを飲んだが、こう風が強くては体はだんだん冷えてゆくみたいだ。これか
らは暖かい飲み物が必要のようだ。家にあった,日が経ってすこし黒ずんでぶよ
ぶよになったバナナを食べてから、11時5分下山を始める。もう池の周辺は満員
御礼といった状況だった。圧倒的に中高年である。
夜叉ケ池は誰もいない静かな佇まいが似合うと思う。これでは,伝説に思いを巡
らせ,神秘的な雰囲気に浸ると云う訳にはいかないのである。
登山口には12時45分頃に着いたが、途中、子供連れや若い男女も数多く登っ
て来た。普通の革靴のおじさんにも会った。登山口には30台近い車が所狭しと
停まっていた。下界は穏やかでいい天気だ。
「とりあえず温泉に入りに行こうよ」などと言うおばさん方の声を聞きながら、車の
中で鮭のおにぎりをひとつ食べたのでした。