福井の小さな山歩記


武奈ヶ嶽から三重嶽

前回の三十三間山から轆轤山へ歩いたとき、天増川の谷を挟んで左手に連なる濃緑色の三重嶽と
武奈ケ嶽が印象的だった。それで早速この二つの山をぐるっと廻ってくることにしたのである。県境の
近江坂からも行けるのだが、武奈ケ嶽が抜けてしまうので石田川ダム近くから登ることにした。

三重嶽(974.1m)はサンジョウダケと読むらしい。幾つものコースが開かれていて、案内の標示も
要所要所に建てられていて迷うことはない。リボンが至る所に付けられていて、心強いということはあ
るが、あまりにも多すぎるという感じがする。

ダム事務所の横、泡洗浄式トイレの先の石田川沿いの舗装道路は、フェンスが置かれ一応車は通行
止めの様だ。どかしても行けるが、今日はその必要もない。フェンスからものの6・7分で左手にリボン
が付けられ、踏み跡が斜めにある。ぼけっとしていると見過ごしてしまう。何故かここには標識が無い。
ぼけっとして通り越したら、もう少し先のワサ谷の橋を渡って林道に入れば、武奈ケ嶽はスキップしてし
まうが、三重嶽のみ登るのには近くなる。

その踏み跡を登ると杉の植林の中をジグザグに登る。植林を抜けても細い道が続き、尾根に出るまで
1時間も掛かった。しかし、登りやすい道だし、自分のペースで登れるので楽だ。出た処は740.3m
のピークで、武奈ケ嶽1.3kmの立派な標示がある。緩い登りで武奈ケ嶽(865m)に。今日はガスに
覆われていて何も見えない。そこから1.1kmでワサ谷分岐、3人連れの女性が休憩していた。私は
2万5千分の1地図しかないが、女性はこの山域の詳しい登山地図を広げていた。三重嶽まで4km。


三重嶽山頂近くは大きなブナが多い

いろいろな形のブナが沢山あって、いちいち写真に撮ってもいられない。ガスの中のブナ林はいいもの
だ。登り下りはあったが、たいしたことはなく、一段と大きなブナが目立つ様になると近江坂への分岐が
あって三重嶽の山頂に着く。若いお二人さんがいて、ちょうど間の悪い時に私が到着したみたいだった。

山頂は展望が良くないらしく、展望台の様な櫓が造られていたが、ガスを伴った風が吹いていて、風を
避けて腰をおろして食事をした。アベックは声も交わすこともなく消えていた。


三重嶽山頂 

下りは「落合4.3km」の標示に従って道に入る。実際は落合という地名は初めて聞くのだが 4.3km
だから間違いないし、方向からしてこれしかない。この尾根道が登ってきた道とは違って明るくて気持良
いのだ。それに昔使われた峠道みたいに踏み込まれ掘れた道が続いたりして快調に飛ばして、最後は
急斜面となり慎重に下って石田川沿いの道路に降り立った。その舗装道路を1時間ばかり歩いて車へ
戻った。午前8時から午後3時まで、ガスのため多少急いだが、色々な形のブナの樹々を見られたし、峠
道みたいな道も歩けた。手頃なコースだと思った。


気持の良い尾根道を下る

('05年6月5日)



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よく踏み込まれて窪んだ道を下る