福井の小さな山歩記

取立山(99・5・20)


雨の上がるのを待って11時に登り始めた。「東山いこいの森」奥の登山口か
らである。山頂(1,307.2m)までは1時間10分で着き、とりあえず証拠写真だけ
撮る。大滝の方へ降り始めたのは1時半くらいだったが、それまではずっとガス
の中で景色は何も見えず、昼食も避難小屋で食べた。



避難小屋の扉を開けたらいい匂いがした。私を追い越して登っていた夫婦連
れが、ガスコンロを使って豚汁みたいな物を食べていたのである。私と同時に
入ってきた男性の二人連れは、どうやら学校の先生らしかった。二人は缶ビー
ルなどをリュックから出していた。 私はと云うと、前の晩のご飯が炊飯器に少し
残っていたのを、かみさんが珍しくおにぎりにしてくれたので、2個持ってきたの
だ。勿論冷たくなっているし、ウーロン茶も冷たい。腹がへっているので美味し
いのではあるが寒くなってくるのだ。見ると、例の夫婦はコーヒーだココアだの
とガスコンロをゴーゴーいわせているのである。
小さいおにぎりはすぐに終わり、あとはボリボリとおのろけ豆のやけ食いだ。
今日はバナナもなく寂しい。



一週間ほど前の福井新聞に、取立山の水芭蕉は「来週いっぱいが見頃」とあ
ったので、今日くらいに出掛けないと遅くなると思って来たのだが、山の上で会
った人は、福井新聞に「見頃は、あと一週間」とあったので、丁度一週間後に
来たと云う。今日が一番見頃だと思って来たのだそうだ。
私の見る限りでは見頃は過ぎている感じだ。 かれんな白い部分を包み込む緑
の葉が疲れている感じだ。きちんとカールしてなくてだらんとしているみたいな
のである。



大滝に向かって降り始めるころから空が明るくなり、ここの稜線からの見晴ら
しはなかなか良い。登りと違って気分壮快、体温も上がってきた。明るいトレパ
ン姿の高校生の男女が次々と登って来たので、「こんにちわ」「こんにちわ」と
忙しい。遠くから女生徒の笑い声が聞こえてくる。元気ではなやいでいる。若い
ということは、それだけで素晴らしい。

2時45分頃登山口へ帰着。取立山は2回目であるが、前回登ったのは20数
年前ぐらいだろうか。かみさんは子供を連れて行ったというのだが、私の記憶
には子供が出てこない。ただ水芭蕉よりも人の数の方が多かったと云う想い
出だけなのだ。



次のページへ   福井の小さな山歩記のもくじへ   前のページへ