福井の小さな山歩記


番外編(1)石川県・鳴谷山(’00・07・01)


朝目が覚めたら陽が射している。これは何処かへ登らねばと、能登隠れ家行きを変更して
石川県の鳴谷山(1596.6m)へ登ることにした。あわよくば下山してから能登にいけるか
もしれない。

7時50分家を出て、9時半頃登山口着。白峰村は手取ダムの端の桑島大橋を渡ればいい
ので判りやすい。登山口には石川ナンバーの車が2台停まっていた。9時45分に歩きだす。

快調に歩きだしたはずなのだが何かおかしい。15分位歩いた頃から汗がひどく出るのだ。
顔から腕、胸や背中とすごいし、心臓の鼓動が聞こえて呼吸が荒くなる。昨日遅くまで久し
ぶりに片町で飲んだのが影響しているみたいだ。朝少し酒気が残っていたみたいだし、だい
ぶ変な夢を沢山見たのである。

片町で一晩飲めば月の小遣いはあらかた無くなって、あとはおにぎりを持って低い山を登る
しかないのである。考えに寄ってはそれだから健康に良いのかもしれない。実際には半年に
一回程度しか行ってないが。他にもいろいろと金は出ていきますのでね。

鎧壁と群生する水芭蕉

45分位歩いてデカイ一つの岩でできた様な所にでたので、たまらず休んで水分の補給をした。
黄色い花があちこちに咲いている。黄色い花と云うとニッコウキスゲしか知らないが多分それだ
と思う。ここは鎧壁というらしいが面白い格好をした岩だ。つるんとしていて掴まるところがない。

そこを過ぎると水芭蕉の群生地を通るのだが、もうみんなお化けの様に大きな葉っぱに成長
しているので密集している感じだ。それにしても大きな葉っぱである。
砂御前山との分岐も過ぎ、しばらく行くと鈴の音がして年輩の男の人が道をあけて待っていて
くれた。そしたら、夫婦連れらしい二人が上から追いついてきた。「おっ早いですね」「降りるの
が得意なもので」なんて云う会話を交わして3人の方々は下って行った。もう上には誰もいない
みたいだ。


そのうちに雨が降ってきてしまった。尾根伝いには大きな杉などの巨木があったりして、そんな
に濡れはしないのだが、一時強くなったので防水加工のジャンパーを羽織った。30分ばかりで
止んだのだが、脚がやっと前に出る感じになったので頂上を間近にして休息してカロリーのある
飲み物を摂った。朝がパン一切れだったのでお腹が空いたのだ。
苦しい時には子供の小さい頃のことを想い出しながら歩くのが一番だ。家族で白峰スキー場へ
行ったことがあった。私はスキーは苦手なので、子供にお父さんの顔が引きつっていたよなどと
言われてしまった。ゴツゴツのコブだらけで初心者向きではなかったのだ。


鳴谷山頂上

灌木が切れて展望が開け草原の中の道となり、やがて頂上に到着。うぐいすの鳴き声が聞こえ
穏やかな山頂。白山は雲に隠れて下の方しか見えなくて写真を撮る訳にもいかない。缶ビール
を飲んで、コンビニで仕入れた小さい稲荷を食べた。そのコンビニはバナナを置かない店だった
のが残念だった。

ここまで休憩をいれて3時間も掛かってしまった。途中で何か食べるべきだったかなと思う。この
山は、水芭蕉の時か紅葉の時に登るのがいいのだろう。
登山口に着いたのは4時少し前になってしまった。今日は疲れた。能登行きは中止。帰り白峰の
温泉街へ行って総湯へ浸かる。350円だったが、石鹸もシャンプーもドライヤーも無かった。350
円では仕方がないか。近くに手打ちそばという店があったので600円でざるそばを食べたが、タレ
がいまいちと云う感じがした。



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