還暦つれづれ草
孫の子守りで疲れはてる
無事に八王子の病院の診察も終わり、生まれて6ヶ月の孫に初めて会えると東京駅から高速バスに
乗り込んで、今バスに乗ったから着く頃に迎えを頼むと電話をした。ところが何と、その孫が今日入院
したというのだ。それも髄膜炎かも知れないというのだ。げげっ、これは一大事、高速バスは走り出し
たし、私はどうすれば良いのか、はたと困ってしまうのだ。
パパは2才の女の子を乗せてバス停まで迎えに来てくれた。ママは病院で付き添いだしパパは仕事
がある。そこでタイミングよく私が来たので、2才の女の子の子守りをすることになったのである。なか
なか気難しい娘で、何しろ私の顔を見るなり大泣きなのだ。
病院も遠い。初めてのご対面が点滴姿とは痛々しいが、それでも髄膜炎ではなさそうで一安心した。
くるっとした目でパパ(私の息子)の赤ん坊のときを想い出させてくれる。昨日はいろいろな検査をされ
て大変だったらしいが、割と元気そうでほっとした。
さて翌朝、パパは朝早く出掛ける。そこで目を覚ました娘の泣き声が聞こえた。私が顔を出したら足を
ばたつかせての大泣きとなる。でも抱き上げて暫くすると泣きやむことが判る。朝食の果物を与えれば
もう大丈夫だ。食事が済むと孫はお片づけをしてテーブルを拭いたりもする。そして腕まくりをしながら
洗面所へ行って手てを洗う。そして歯磨きのまねごとをする。なにせ自分でしなければ気がすまない
のはいいのだが、手を洗うとき水道のカランが廻らないくせに回してあげようとすると怒るのだ。
ままごと遊びは眠くなってしまう。小さいガスレンジにフライパンや鍋を乗せて炒め物だ。コショウを振り
かけたりお醤油を掛けたり、フライパンを上下してひっくり返したりなかなか芸が細かい。コップに飲み
物を「シャー」と言って注いでくれて、私がゴクゴクと飲んだ真似をする。4・5回はしなければならない。
フラフープの輪があって、二人してその中に入ってシュッシュッポッポと部屋の隅から隅へと歩き回る。
なんでもいいから機嫌よく時間が過ぎてくれればいいと思うのだが。最初の夜は外食で、娘は風船を
一つ貰ったので、それでだいぶ時間を潰せた。膨らませて放すと面白い動きをしてしぼんでゆくので、
ケラケラ笑ってくれたのだが、欲張って大きく膨らまそうとしたら破裂しておじゃんになってしまった。
問題はおむつの交換だ。おしっこだけの時は簡単だ。パンツ式のおむつは良く出来ていて便利になって
いると思う。二人の息子の時は古典的な布製のおむつを洗って使っていたのだ。おむつカバーをしなけ
ればならないし、大量のおしっこの時は漏れることもあった。今はおむつを洗って干してたたむという作
業が無い。その代わり大量の紙おむつを毎日毎日使い捨てることになるのだ。
うんちの時は大変だ。既にうんちをおむつの中に出してから「うんち」と言うので、すわトイレへと行くの
だが、トイレの電気を点けるのもドアを開けるのも絶対自分でしなければ泣き騒ぐことになる。そして便座
の上に自分専用の小さい便座を載せるのだが、それに触らせてもくれない。ズボンも自分で脱ぐ。そこで
やっとうんこで重くなったおむつを脱がせることになる。すると便座によじ登って座るのだが、すでにうんち
は済んでいるので更に出すものは何も無いのである。
座るとすぐ横の壁にミニチュアの便座が付いていて、これまたちいさな熊さんがぶら下がっている。熊
を便座に乗せると「うんちかな、おしっこかな、がんばってね」などと喋るのだ。更に「がんばったねシー
ル」とか云うのがあって、それを剥がしてカレンダーに張り付ける。正しくは今日の日にちの処へひとつ
張るのだが、幾つも幾つも張り、気が済む頃に「もういいっ?」と言うと便座から降りて専用の便座を戻
し、お尻を私の方へ向ける。専用の「お尻拭き」という濡れティシュでお尻を拭いてあげる。最初ここか
らが判らなかったのだが、ここで娘はまた便座の蓋を開けるので、私はおむつに付いたうんちをぽとん
と落とす。すると孫は水洗レバーを回し「流れたー」と言うのだ。一番最初の時は、ぽとんと落としたら、
水が顔面に跳ね返ってきたのだ。新しいおむつとズボンを履かせて終わりとなるのである。
こんな事を三日もしていたら疲れてしまい、カミさんと交代して福井へ戻ったのである。
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