福井の小さな山歩記


木の芽峠から鉢伏山(1999・10・24)


今日は朝からものすごく良い天気で,家でくすぶってなど居られない。まあ昨日の
今日だから軽く散策程度の所と云うことで、木の芽峠から鉢伏山(761.8m)へ登
ることにして9時近くに家を出る。
JR南今庄駅の横を通り、上新道地区にさしかかると「木の芽峠」の大きな標識が
あり、そこを曲がって舗装の終点まで行くと大きな案内図と「木の芽峠登り口徒
歩40分」の標識があり、そこに車を停めて歩きだした。車は一台も停まってなく
て気分壮快というところだ。しかし,ガタガタ道の終点に一台軽が停まっていて,
同じ形のシューズが2足揃えて車の下に置かれていた。二人連れが登っている。

そこはスキー場のゲレンデの端で、リフトもある。「木の芽峠<ー>二つ屋」の標
識が片づけられていて戸惑ったが、広いゲレンデを登る。登り切った所に案内板
が見えたので安心したが、なんと綺麗な舗装道路があって、ちょうどマイクロバス
みたいのが通り過ぎるのに出会った。こちらを見てご苦労さんだなと云う顔をして
いるのである。一瞬悪い予感がするのだが、そこから石畳の道が始まるので気
を取り戻して歩き出すが,またすぐにゲレンデを横切る。そして気持ちの良い平坦
な一部苔むした道になり、やがて「言奈(いうな)地蔵」に着く。
やはりすぐ下に舗装道路があって車の往来が多く、車を停めて階段を登って来る
人がいる。はなはだ興を削がれるのだが、今日は人は人自分は自分と思わなけ
ればやってられない。歩きたいから歩いているのだから。

言奈地蔵のいわれ書きはなかなか興味深いものだ。デジカメを取り出すが今日
も役たたずだ。家でテストOKだったのに。写るんですの昨日の残りを使うことに
なる。



間もなく木の芽峠(628m)の茶屋へ到着。すぐ下の道路には車がいっぱい停まっ
ている。趣のある家屋で,中には入らなかったが,よもぎそばの汁の香りがして
きて食べたい誘惑にかられる。ベンチで休み、この道を父為時に連れられた紫
式部や義経、道元禅師そして織田や豊臣の軍勢が通り抜けた事などに思いを
巡らせた。昔は大変だったのだ。わざわざ運動のために,こうやって此処へやっ
て来るような人はいなかったのだ。
そこから送電線の鉄塔をくぐって西光寺丸城跡へ。土塁に囲まれた広場があり
石碑が建っている。この雰囲気がなかなかいい。

茶屋に戻り観音丸城跡から鉢伏山へ向かう。空は真っ青で最高の天気だ。しか
し,やがてまたゲレンデを登ることになる。レストハウスがありリフトの終点が2基
あって、鉢伏城跡があって頂上がある。
頂上には10人位のグループが鍋を囲んで騒いでいたが、その他にも7・8人が
休んでいた。敦賀湾や原電が見下ろせて、風も無く暑くも寒くもなくて心地良い。

今日は、サンドイッチにおにぎり、レッドチェダーチースに缶ビール、バナナにみか
んにおのろけ豆と私にとっては豪華絢爛というところなのであるが、隣りのグルー
プの鍋には負けるのだ。松茸をふんだんに使ったすき焼きなのである。強烈な香
りが漂ってくる。聞こえてくる話しからして豊富な松茸を使っているらしく、嫌がお
うでも盛り上がろうと云うものであろう。最後はうどんで締めているらしい。

私はチーズをほおばりながらビールを飲んだ。人は人自分は自分なのである。
二人連れが多く、短歌を詠んでいる年輩の方もいたりして、鍋のグループ意外は
対照的に静かに語り合っている感じだった。私も少し横になったりしてゆったりと
した時間を過ごした。

帰りに判ったことだが、下の道路から登山道を通らずに、ゲレンデ中央を通るコ
ンクリの急な道を登って来られるのだ。道路に沢山停まっていた車は,そうやっ
て登って来た人達のものだったのだ。今日、私の様に下から登って来た人は何
人いたのだろう。登山口には私の車だけが寂しく停まっていた。渓流の水音だけ
が聞こえてくる。



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