福井の小さな山歩記


湖西経ケ岳・イチゴ谷山

晴の予報で、今日を逃すと当分山歩きが出来そうもないので、1人鯖街道(国道367号線)を南下、
日曜日なので若狭方面へ向かう車の列が多い。ところが葛川梅の木に近づくにしたがい、霧がフロ
ントガラスを濡らすのだ。まあ、それもたいしたことはなく、橋を渡り川合から針畑川沿いの道へ入り
桑原橋を目指す。

今回、湖西の経ケ岳を歩いてみたいと思ったのは、若狭から根来坂を越えてきた鯖街道が、丹波越
と呼ばれるこの経が岳の横の峠を越えて京へ向かっていたとあったからだ。桑原橋を渡ったところに
地蔵堂があり、その横に車を停められる。ここは私有地なので、お賽銭でも上げて下さいと言われた。



登山口はこの堂の裏手へ(堂の横の道で前の道ではない)、すぐに小さな橋を渡り山手へ進むと案内
の標識があり、急な斜面を登る。真っ直ぐに尾根道を登るようになると、所々昔の雰囲気が感じられる。
しかし、山はすっぽりとガスに覆われ、草の葉は濡れ、樹木が滴を落とす。湿度120%だから汗がポタ
ポタと頭から流れ落ちる。何も見えないし、はあはあ言いながら30分経った、また30分経ったと黙々と
歩くだけだ。その内にちょっと広い処があり、そこが茶屋跡と云われる処だった。

跡で写真を見たら画面全体が白く使い物にならなかった。レンズがくもっていたのだろうか。全体的に
今日の写真は駄目だったのだ。

そこから右に登ってすぐ峠見たいな処へでた。何も標識が無いので地図で確認して左へ辿ると、また
峠みたいな処へ出る。茶屋跡から左へ登れば良かったのだ。ここが昔の峠跡かどうかは判らないが、
これが現在の久多越の峠だ。



そこからの登りは何故かあまり印象にないが、茸だけが印象に残っている。よくある煎じ薬にでもする
ようなものだったが、暗い中でそれだけが目立った。鳥の鳴き声もあまり聞こえず、ただデカイ熊ベルの
音だけが響き渡っているのみなのだ。



歩き始めて2時間で経ケ岳(889m)に到着。 汗で濡れているのか外から濡れているのか判らないが
何しろ濡れている。暑くも寒くもないのが幸いだ。カミさんに山はガスだと電話してコンビニのとろろ蕎麦
を食べようとしたら雨が降り出してきてしまった。



20分程でイチゴ谷山へ向けて出発。雨除けに防水スプレーを掛けたウインドブレーカーを着て歩いた。
少し下って、リボンに従って来たが、いやに踏み跡が薄いなと感じて地図で確認したら、違う尾根に入っ
ている。早く確認して良かった。地図も濡れてふにゃふにゃになってきた。戻ってみると見つけやすいの
だが、前の方ばかり見ていると自然に違う方へ行ってしまう。

道は明瞭だが、急な下りだ。下りきった鞍部に平良の方へ下る標識があり、ここはミゴ越と呼ばれる峠
らしい。西の斜面は大きく切り開かれ明るくて、切り開いた処を囲む様に黄色い網が張り巡らされている。



その網に沿って登る道が急登だった。登りきると広場のピーク、そこからなだらかな道となり、最後は少し
登ってイチゴ谷山(892.1m)の頂上に着く。着くと早速大きなアブみたいな虫にまとわりつかれ、どうせ
何も見えないのですぐさま退散した。今日はアブか蜂か判らないが3カ所も刺されたのだ。
その先の尾根を下ろうとしたが、道は細くなって草木の葉っぱが多そうなので、先程のミゴ越から下って
みることにした。もうこれ以上濡れるのはごめんなのだ。



ミゴ越の峠に着く頃から空は明るさを取り戻してきて、濡れそぼったウインドブレーカーをしまった。
峠から降りだしてすぐに、この道は危なっかしくて尾根を下ればよかったかなあと思ったのである。
急な斜面の薄い踏み跡の道筋は、細かい石粒で滑りやすく崩れやすいのだ。おそるおそるそこを
通過したら今度は足を滑らせながら急降下、沢に降りた。沢伝いに少し下ると、イノシシか熊捕獲用
なのか仕掛けがある林道終点にでた。ここまで峠から30分足らずと早いが、林道を25分ばかり歩
かねばならない。平良谷橋に出ると思っていたら、もっと上流の林道の橋を渡り鎖をくぐって県道へ
出た。

林道を歩き出したら陽が射したりして明るくなっていて、県道を桑原橋まで40分ばかり歩くのだが
風が気持ちよく、針畑川の清流を左に見ながらのんびりと歩いて車へ戻った。

帰りに車で平良谷橋(多分)を渡ると、そこに「ヘラ谷奧登山口 徒歩2時間30分」の標識が立って
いるのを見つけた。「ヘラ谷奧」とはイチゴ谷山のこの辺りでの呼び方と思われるが、ここから尾根に
とりついて登る道も整備されているみたいだ。やはりこちらへ降りればよかったかな。

('05年7月24日)

HOMEPAGEへ          福井の小さな山歩記の目次へ