福井の小さな山歩記


高野山・揚原山蟹淵(がんぶち)

大蟹伝説の蟹淵(がんぶち)を囲むようにある高野山(372.8m)・揚原山(486.7m)は、石川県
能美市にあり、2万5千分の1地図「別宮」の右上隅に位置する。蟹淵は、辰口町の名勝・天然記念物
に指定されていて、モリアオカエルや貴重なトンボの生息地である。今の季節は、その両方ともに関係
ないのだが、新緑の散策路として周囲の山を廻って蟹淵を通って降りたこのコースは、適度な運動にな
って気持の良いものだった。


蟹淵(がんぶち) 曇り空で色がでない

林道鍋谷和佐谷線が尾根を越えているので、車で峠まで行けば軽い散歩にもなる。蟹淵も車で行ける
のだが、この様な神秘の池には歩いて行くのが相応しい。車道は付けるべきではないように思われる。

高野山から揚原山までの尾根歩きは、あずまやの手前の階段と揚原山手前が少し登りがある以外は、
とても歩きやすく、鳥のさえずりを聞きながら新緑の中を歩くのは気分の良いものだ。展望の良い処は
あずまやと、その先、峠を挟んだ処で、山頂からの眺望はありません。

揚原山の山頂に12時10分前頃に着いた。丁度薄日が射してきて風も無く、三角点の石に腰を下ろして
散策の時の定番のコンビニのおろし蕎麦で缶ビールを飲んだ。今日はことのほか美味しい。


この様に気持の良い尾根道 ブナの幼木が多い

揚原山から蟹淵へ降りる道は、尾根の反対側にも下りる道がついていて、ここは峠として使われたので
はないかと思われる。蟹淵へ降り始めて、道が窪んでいて平行して窪んだ道跡が見られることから、林
道が造られる前はここを通っていたのではないかと想像したのである。

立派な杉林の中は道があやふやになり、赤い布を目印に進むと、すぐに谷筋を降りるようになり、間もな
く蟹淵に出る。長靴を履いた比較的若い方が、何か沢の中を見回して調査でもされている様子だった。
揚原山を下りだしたら、私よりだいぶ若そうな方が1人元気よく登って来られた。今日はその二人に出会
ったのでした。



大蟹伝説 : ホームページを幾つか見ると、この淵は昔から近隣の人達が雨乞いにやってきていた。
雨を降らす主がいるという言い伝えがあったらしい。あるとき干ばつがひどく、和気の村人達が雨乞いをし
ていたとき、突然一匹の大蟹が現れた。驚いた村人達が鍬を振り回すと大蟹の足に当たって大蟹は淵へ
沈んだ。そして淵の底から「鍋谷七ケ村無ければ和気三ケ村押し流してくれようものを」という声が聞こえ
てきた。それとともに大雨が降り出し、怖くなった村人達は大慌てで逃げ帰ったという。
その後だいぶ経ってから、この大蟹は脚を怪我した侍の姿となって化けて出たという。それで雨乞いをす
るときには、あの時の詫びを言うことになったのだという。

 
林道鍋谷和佐谷線入り口にある                 林道からの高野山登山口 左の石から800mくらい


左の高野山から尾根伝いにぐるっと歩いて来た


揚原山の頂上 展望はなし わらびが目立つ

('05年5月9日)
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