福井の小さな山歩記


番外編・県外の山
別山・山頂に達せず(’00・09・15〜16)



敬老の日は快晴。真っ青な空の下、11時半頃別当出合から南竜山荘に向けて歩きだす。
今日は南竜山荘に泊まり、明日別山(2399m)を目指す計画で、南竜山荘に予約をした。
Tシャツ一枚で快調である。今日は3日連休の初日なので登る人が多い。沢山の人が私を
追い抜いて行く。甚の助ヒュッテの少し手前の、デカイ丸太を平たく削ったベンチのある所で
休憩とした。冷たいリンゴを丸かじりする。美味しい。ここまで2時間半。

そこから少し登って南竜分岐へ、ここでもおばさん方が休んでいて賑やかである。あとは楽
な道を南竜山荘へ。少し早く着き過ぎた感はあるが受付をして、一泊二食6300円を払う。
ついでに缶ビール500ml一本を買う。650円だった。
2階のきれいな休憩室で周囲の山々を眺めながらビールを飲んだ。先程のおばさん方が、
ここでも賑やかに宴会をしている。枝豆やら出汁巻きやら何やらかやと豪華なつまみが揃っ
ているのだ。枝豆と出汁巻きはご相伴に預かったのだった。これは余ったらしかった。


南竜分岐

それからキャンプ場を見学したり、前の清流に降りて石に腰をおろしてゆったりとした時間を
過ごした。ほんとに今日は良い天気だった。このまま夜まで持てば星が見られるのだが。

夕食は少し早く、5時過ぎに始まり、おかずは少なかったがご飯は美味しく炊けていた。シド
ニーオリンピックの開会式をテレビでやっていた。山荘の関係者が相撲にしようとしたら、どこ
かのおばさんが、オリンピックと叫んだのでオリンピックは続けられることになった。

一人で山小屋に泊まるのは初めてなので、こんなにヒマだとは思わなかった。そして、晴天
に恵まれ快適だった今回の山登りもここまでだったのである。一室10人の部屋に8人が割り
当てられて楽だと思ったが、とてつもなく大きないびきに悩まされることになったのである。

夕闇とともにガスが出て、夜になると風が出始め、やがて雨混じりの強風となってしまった。
そのまま朝となり5時頃から出掛けて行く人達がいる。ツアーの団体も早かった。時間に縛
られているのだろう。夕方遅く着いて朝は早い。こうまでして団体で来るのは料金が安いか
らなのだろうか。別山に向かう人は少なく、かつ早出だった。私は6時50分に出たのだが、
私が別山に向かう一番最後だった。勿論私の前はずっと先に行ってしまっているのである。

風雨の中、すでに川となっている道を歩く。赤谷の沢を渉り油坂をジグザグに登る。風向き
が後ろからになると押されて身が軽くなる。歩き出して1時間15分位か、風は強烈になり、
よろめいて傍らの岩に思わずしがみつく。重いザックで重心が上だし、岩石を粉砕したような
石の道は足が安定せずよくよろける。

すぐそこが油坂の頭でガスの中でも稜線に出たことが判った。ところが、猛烈な風が吹き上
げていて、身を隠す所もなさそうで普通には歩けそうもない。雨が顔にピシッと当たり痛い。
こんなにすごい風は初めてだ。
吹き飛ばされそうなので戻って灌木の陰で様子を見ることにする。20分以上岩に腰を降ろして
待ってみたが、風は衰える様子もなく、座っていても体が揺れているのに気が付く。地震みた
いな感じに揺れている。ザックを背負っているせいか。側の草が草笛の様に音をだしている。

今日の登りの部分の殆どは歩いたのに残念ではあるが、どうせ雨で何もみえないのだし、そ
れに一人なので、もしもの時にどうしようもないので、ここで引き返すことにした。それから別
当出合まで下る間、ずーっと雨と風の中だった。風雨をついて今日も沢山の人が登ってくる。

今回ザックが重く、両肩が痛くて困った。コッフェルやガスバーナー、食料などを詰め込んだ
為だ。数日前から何回も入れたり出したり、遠足に行く小学生みたいだったのである。それ
が一度も使う機会もなく持ち帰られてしまったのであった。


左:南竜山荘 右:野営場


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