還暦つれづれ草


料理旅館に泊まる

カミさんと美濃の高賀山に登り、板取川温泉に浸かり、近くのキャンプ場にテントを張って、翌日瓢ケ岳
に登るという計画だったのだが、何しろ経験がないものだから、思ったようにはいかないのだ。いまどき
誰もキャンプ場を利用する人などはいないらしく、何処も管理人がいなくてロープが張ってあったりする。
祭日の前日なので大丈夫と思っていたのが経験の無い悲しさなのだ。

おまけに、キャンプ場から歩いて行けるという板取川温泉が、水曜日は定休日だというのには参った。
これだって祭日の前日なのにと思うのだ。事実、他の車もアレレという感じで、閉じられた入り口の前で
停まったのだ。 温泉が営業していれば泊まる処もなんとかなったと思うが、カミさんは、やたらの処に
テントを張るのは抵抗がある。私も出来れば避けたい。山の中のキャンプ場は薄気味悪い処だったし。

そこで民宿の看板はと探してドライブしたが、能登半島と違ってとんとお目にかかれない。そうこうする内
に時間も経過し、美濃市の街中の調べて置いた宿へ行くことにして車を走らせた。目に付くのは「鮎」の
看板の料理旅館ばかりだ。と、調べたときに目にしたような名前の旅館のデカイ看板を見つけた。 もう
5時近くになっていた。

そこで停車して電話をする。最初やや困ったような返事だったが、1泊1人1万円プラス消費税ですけど
という訳だ。ビジネスで泊まる安い料金の設定もあったような気がしたが、昔のことかも知れず、時間も
時間だし、カミさんも決めろというサインなので、ここに泊まることに決めた。

まあ、数日前、このところの株高で、ちょっとばかり小遣いを確保したので、気も大きくなって、この位は
大丈夫だという気持もあった。 旅館に着いてみて高い理由も判る気がした。建て替えて真新しいのだ。
山へ登って来たと言うと、山へ登られた静岡の方6人さんがお泊まりだという。多分今日、山で顔を会わ
せなかったが、高賀山に登り、明日、瓢ケ岳に登るのだろう。

新しいから綺麗で風呂も1人でゆっくり入れた。静かな山の中だ。何か凄く贅沢な気分で、仕事を辞めて
以来、なかなか料亭みたいな処には行けないから、久しぶりという感じだ。鮎の刺身や鮎の塩焼き等など
食べきれないほど出てきて、小食の私はお腹がきつくなった。幸せいっぱいという気分なのである。

テントを張っていたら今頃どうしているのかなと思った。大きな鍋やカセットのガスコンロも積んで来たし、
食料も沢山積んではきたのだが。お腹がいっぱいになっても寝袋では寝心地が悪すぎる。なんと言って
も旅館は蒲団の中でぐっすり眠れるのが一番だ。山の疲れも取れるというものだ。

翌朝はすっきりと目が覚めて、朝食も美味しく食べられてすこぶる快調だ。支払いを済ませて車に乗り、
発車するとき横を見たら女将が見送ってくれていた。車が小さいので少し気恥ずかしい思いがした。

('05年11月3日)


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